地域の中小企業が連携しオンライン展示会を開催 さむかわ次世代経営者研究会のデジタルを活用した販路開拓の取り組み

デジタル化

 中小企業診断士の武田です。
 寒川町では町と地域の中小・小規模製造事業者が連携して『さむかわ次世代経営者研究会』を立ち上げ、経営革新に取り組んでいます。今回はその取り組みの一つとして、デジタルを活用し販路拡大を推進した事例を取材したのでご紹介します。

さむかわ次世代経営者研究会のあゆみ

 寒川町は、寒川神社を始めとした歴史的資源や相模川とその流域の田園地帯などの地域資源にも恵まれた神奈川県の中央に位置した人口4.7万人の町です。
 昭和30年代以降、町は積極的な企業誘致を行い、町の産業は、農業から工業へと移っていきました。寒川町には、これだけの人口の町に、200社にも及ぶ中小・小規模製造業事業者が立地していることがこの町の特徴です。
 寒川町では、ピーク時は、4,200億円を超える工業製品出荷がありました。2000年代に入ると日本全体の産業構造の変化などもあり、寒川町の工業出荷額は漸減、2010年代には、3,000億円近くまで落ち込む時期もありました。

 このような中、寒川町では、2014年に国の地方創成総合戦略をきっかけに、新たな町づくり戦略、『寒川町 まち・ひと・しごと創生総合戦略』を策定しました。その核となる考え方は、『持続可能な町づくり』で、住んでみたい町をめざし、地域資源を磨き、町のブランディングに力を入れてきました。もう一方で、住んでもらうためには、雇用の場が必要です。『住』と『職』の両輪の町づくりが必要でした。これまで、誘致した企業が、経営の事情で次々と転出していく様を見てきて、寒川町は地域の中小製造業こそが宝であり、雇用の場であるという考えに至りました。町では、コロラド州リトルトン市発祥で、山本尚史教授(拓殖大)が日本に紹介し、静岡県 藤枝市をはじめいくつかの自治体で推進していた、『エコノミックガーデニング』の手法を取り入れ、寒川町の中心産業である中小製造業を育成していくこととしました。
 『さむかわエコノミックガーデニング』の推進に当たって町は、「寒川町地域経済コンシェルジュ」を専門家(中小企業診断士)に委嘱、コンシェルジュと町職員がタッグを組んで成長意欲の高い若手経営者を発掘し、ワークショップや企業交流会などの活動を行う中で、2017年10月『さむかわ次世代経営者研究会』が結成されました。現在、同研究会では9社が参画し活動を行っています。このように、きっかけは、行政が後押しとなって活動が始まりましたが、現在では、メンバー主体の活度に移行し、切磋琢磨と相互連携をしながら、さまざまな取り組みを進められています。

◇寒川エコノミックガーデニング

寒川エコノミックガーデニング


◇さむかわ次世代経営者研究会

さむかわ次世代経営者研究会サイト
神奈川県寒川町の【さむかわ次世代経営者研究会】が主催するオンライン展示会や次世代経営者研究会の活動報告・書籍や協働成果などを掲載しています。

連携の中で進んだデジタル化

寒川町のホームページには、『さむかわ次世代経営者研究会』の発足準備段階からの活動の様子が議事録として公開されています。

・寒川町ホームページ

さむかわ次世代経営者研究会|寒川町ホームページ
 町では、ものづくりにかかる寒川町内企業の若手経営者および後継者が経営能力を向上し、企業が単独あるいは共同で行う新たな取り組みを増やすことを目的に、平成29年10月17日に「さむかわ次世代経営者研究会」を行政主導で発足し、令和元年度から自主運営組織として活動しています。 ...

 これを読み進めると、工場のオペレーションや保有設備、営業活動や入札情報などの経営についてのさまざまな情報交換がなされていますが、その中で、IoTやホームページについても導入にあたっての経験談や技術的なノウハウを教え合っていることが確認できます。

 中小・小規模事業者では、人材不足に加え、関心や知識が足りずデジタル化がなかなか進まなかったり、必要性を感じながらも業者に丸投げで失敗する例が多く見られる中、事業の実態に即したアプリやツールを紹介し合ったり、IT投資をいかに効率よく、また、無駄な出費のないよう導入するかなどお互いのノウハウを教え合ったりしている様子もうかがえます。

 地域中小企業のコミュニティ活動が個社のデジタル化の加速に大きく貢献したといえるのではないでしょうか。

テクニカルショウヨコハマへの共同出展の取り組み

 2019年秋、『さむかわ次世代経営者研究会』では、販路拡大をめざし、翌春 の『テクニカルショウヨコハマ2020』へ出展しました。出展準備 を通じて、グループとしての活動の意義 や自 分たちの 技術 を発 信していくことの重要性を改めて 感じ、研究会の結束 はさらに高まって行ったようです。

2021年3月独自のオンライン展示会を開催

 連携の取り組みは、コロナ禍の中で、さらに進化を遂げていきます。
 新型コロナの感染拡大でさまざまな経済活動が制限を受ける中、昨年9月、寒川町から、コロナ禍でのこれまでの取り組みをさらに先進させるため、独自のオンライン展示会をやってみないか、という打診を受けました。それから半年、短期間でさまざまなことを学び合いながら、開催にこぎつけ、2021年3月1日から1か月間、『さむかわ次世代経営者研究会 ものづくりオンライン展示会』をネット上で実施しました。私もこの展示会を訪ねましたが、9社が、それぞれ、とてもユニークな映像コンテンツをつくられ、見事に、その匠の技をPRされていました。
 このオンライン展示会は、中小企業のリアルな企業連携が、デジタルを活用した取り組みを通じて、販路開拓の取り組みを進化させた事例であると思います。

・ものづくりオンライン展示会 実施報告のページ

ものづくりオンライン展示会 | さむかわ次世代経営者研究会サイト
さむかわ次世代経営者研究会サイト 神奈川県寒川町のものづくりオンライン展示会ページです。寒川町は神奈川県の中央、高座郡に属する町。相模川沿いに工場が点在し、神奈川県の内陸工業地帯の中核です。本オンライン展示会においては、その魅力の一端を動画にてアピールします。 ご来場された皆様に役立つ情報提供に全力投球します。


 また、『さむかわ次世代経営者研究会』のホームページを見ると、個社のホームページよりもボリューム感があり、勿論、内容も伴った、見応えのある内容となっています。潜在顧客へのインパクトや相乗的訴求効果が期待できるのではないでしょうか。

 今回は、経営者同士が触発し合いながら、デジタルを活用した新たな販路開拓の形を創り出した事例を紹介させていただきました。
しかし、さむかわ次世代経営者研究会では、「販路開拓」は勿論ですが、その真の目的は、「明日の変化に適応させての持続的経営にある」と考えられており、その活動の核は「事業計画を策定し、互いに発表し合い、意見交換を行う」ことだとお聞きしました。

 最後になりますが、『さむかわ次世代経営者研究会』の益々の発展をお祈り致します。

寒川町は、寒川神社を始めとした歴史的資源や相模川とその流域の田園地帯などの地域資源にも恵まれた神奈川県の中央に位置した人口4.7万人の町です。昭和30年代以降、町は積極的な企業誘致を行い、町の産業は、農業から工業へと移っていきました。寒川町には、これだけの人口の町に、200社にも及ぶ中小・小規模製造業事業者が立地していることがこの町の特徴です。寒川町では、ピーク時は、4,200億円を超える工業製品出荷がありました。2000年代に入ると日本全体の産業構造の変化などもあり、寒川町の工業出荷額は漸減、2010年代には、3,000億円近くまで落ち込む時期もありました。このような中、寒川町では、2014年に国の地方創成総合戦略をきっかけに、新たな町づくり戦略、『寒川町 まち・ひと・しごと創生総合戦略』を策定しました。その核となる考え方は、『持続可能な町づくり』で、住んでみたい町をめざし、地域資源を磨き、町のブランディングに力を入れてきました。もう一方で、住んでもらうためには、雇用の場が必要です。『住』と『職』の両輪の町づくりが必要でした。これまで、誘致した企業が、経営の事情で次々と転出していく様を見てきて、寒川町は地域の中小製造業こそが宝であり、雇用の場であるという考えに至りました。町では、コロラド州リトルトン市発祥で、山本尚史教授(拓殖大)が日本に紹介し、静岡県 藤枝市をはじめいくつかの自治体で推進していた、『エコノミックガーデニング』の手法を取り入れ、寒川町の中心産業である中小製造業を育成していくこととしました。『さむかわエコノミックガーデニング』の推進に当たって町は、「寒川町地域経済コンシェ ルジ ュ」 を専門家 (中小企業診断士)に委嘱 、コン シェ ルジ ュと町職 員がタッグを組んで成 長意欲 の高い若手経営者を発掘し、 ワーク ショ ップや企業 交流会などの活動を行う中で、2017年10月『さむかわ次世代経営者研究会』が結成されました。現在、同研究会では 9社が 参画 し活 動を行っています。このように、きっかけは、行政が後押 しとなって活動が始まりましたが、現在 では、 メンバー主体の活 度に移行し、切磋琢 磨と相 互連携をしながら、さまざまな取り組みを進められています。◇寒川エコノミックガーデニングhttps://www.samukawa-eg.jp/◇さむかわ次世代経営者研究会  https://www.next.samukawa-eg.jp/連携の中で進んだデジタル化寒川町のホームペ ージには、『さむかわ次世代経営者研究会』の発足準備段階からの活動の様子が議事録として公開されています。・寒川町ホームページhttp://www.town.samukawa.kanagawa.jp/soshiki/kankyokeizai/sangyoshinko/kigyoushien/info/kigyoushien/1513237017228.htmlこれを 読み進めると、工場のオペレ ーショ ンや 保有設備、営業活動や入 札情報などの経営についてのさまざまな情報交換 がなされていますが、その中で、IoTやホームペ ージについても導入にあたっての経験談 や技術 的なノ ウハウ を教え合っていることが確認 できます。中小・小規模事業者では、人材不足 に加え、 関心や 知識 が足りずデジタル化がなかなか進まなかったり、必要性を感じながらも業者に丸投 げで 失敗 する例が多く見られる中、事業の 実態 に即した アプ リや ツールを紹介し合ったり、IT投資をいかに効率 よく、また、無駄な出 費のないよう導入するかなどお互 いのノ ウハウ を教え合ったりしている様子もうかがえます。地域中小企業のコミュニティ活 動が個社のデジタル化の加速 に大きく貢献 したといえるのではないでしょうか。テクニカルショウヨコハマへの共同出展の取り組み2019年秋、『さむかわ次世代経営者研究会』では、販路拡大をめざし、翌春 の『テクニカルショウヨコハマ2020』へ出展しました。出展準備 を通じて、グループとしての活動の意義 や自 分たちの 技術 を発 信していくことの重要性を改めて 感じ、研究会の結束 はさらに高まって行ったようです。2021年3月独自のオンライン展示会を開催連携の取り組みは、コロナ禍の中で、さらに進化を遂げていきます。新型コロ ナの感染 拡大でさまざまな経済活動が制限 を受ける中、昨年9月 、寒川町から、コロ ナ禍 でのこれまでの取り組みをさらに先進さ せるため、独自のオンライン展示会をやってみないか、という打診を 受けました。それから半年、 短期間でさまざまなことを学び合いながら、開催にこぎつけ、2021年3月1 日から 1か月間 、『さむかわ次世代経営者研究会 ものづくりオンライン展示会』をネット上で実施しました。私もこの展示会を訪ねましたが、9社が、それぞれ、とてもユニークな映像 コン テンツをつくられ、見事に、その匠の技をPRされていました。このオンライン展示会は、中小企業のリアルな企業連携が、デジタルを活用した取り組みを通じて、販路開拓の取り組みを進化させた事例であると思います。・ものづくりオンライン展示会 実施報告のページhttps://www.next.samukawa-eg.jp/exhibition/また、『さむかわ次世代経営者研究会』のホームペ ージを見ると、個社の ホームペ ージよりも ボリューム感 があり、勿論 、内容 も伴った、見応えのある内容 となっています。潜在顧客へのインパクトや相乗的訴求効果が期待できるのではないでしょうか。今回は、経営者同士が 触発し合いながら、デジタルを活用した新たな販路開拓の形を創り出した事例を紹介させていただきました。しかし、さむかわ次世代経営者研究会では、「販路開拓」は勿論 ですが、その真の目的は、 「明 日の変化に適応 させての持続的経営にある」と考えられており、その活動の核は「事業計画を策定し、互いに発表し合い、意見交換を行う」ことだとお聞きしました。最後になりますが、『さむかわ次世代経営者研究会』の益々の発展をお祈り致します。

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