LIFE SHIFT(100年人生)のための中小企業診断士活動 ~第2回 中小企業診断士活動でLIFE SHIFTの準備を~

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1.将来性のある仕事の探索 -中小企業診断士はAIに代替されにくい―

第2ステージ卒業後、55~65歳から就労期間は、それまでの第2ステージと同じくらいの20~30年と長期に渡るため、どの分野を選ぶかは、将来性や市場の変化を慎重に検討する必要があります。
特に近年は人間の仕事がAIやロボットに置き換わっているため、選択を誤るとせっかく築き上げたスキルが活用できなくなるリスクがあります。

2015年に野村総合研究所が、オックスフォード大学のオズボーン准教授およびフレイ博士との共同研究で、国内の職業がAIやロボット等で代替される確率を試算したところ、10~20 年後には、日本の労働人口の約49%が就いている職業が代替され得るという結果でした。
この中で士業のAIによる代替の可能性は、税理士92.5%、社会保険労務士79.7%でしたが、中小企業診断士は0.2%と極めて低い結果となりました。
中小企業診断士はAIに代替されにくい、将来性のある職業といえます。

日経新聞朝刊(2017年9月25日)より

これは、中小企業診断士には定型的な独占業務がほとんど無く、経営者の話を聴いて社内外の環境を総合的に分析したり、時には経営者を説得したり励ましたりするなど、経営者との信頼関係を構築し、人間力と総合的な判断が求められる仕事であるからだと思います。

中小企業診断士へのLIFE SHIFTは、AI代替性が低い将来性のある選択です。

2.人生の資産管理

本書「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」では、LIFE SHIFTのための準備のことを「人生の資産管理と呼び、資産を「ある程度の期間にわたり恩恵を生み出せるもののこと」と定義しています。この資産には貯蓄やマイホームといった有形資産だけではなく、知識、人脈、健康などの無形資産も含まれます。資産は放っておいてもしばらくは存続しますが、メンテナンスを怠ると、やがて価値が減少します。また新たな知識の獲得や人脈の形成などの無形資産への投資を行うためには、それをまかなう有形資産を蓄積する必要があります。

本書では、人生の資産として、貯蓄、マイホームといった有形資産と、3つの無形資産を挙げています。

人生の資産

有形資産
 貯蓄、マイホーム

無形資産
 1.生産性資産(仕事で稼ぐためのスキル・知識)
 2.活力資産(健康・幸福感、家族・友人との良好な関係)
 3.変身資産(自己理解、変化や新しい経験の受容力、多様性に富んだ人脈)

これを企業内診断士に当てはめてみると、以下のように、全ての資産形成に役立つことが分ります。

人生の資産(企業内診断士の場合)

有形資産
 本業での給与所得

生産性資産(診断士として稼ぐための知識・スキル、経験)
 診断士グループへの参加による、実務機会の獲得と実務経験の蓄積
 実務経験で必要になる知識の補充

活力資産、変身資産(自己理解、人脈形成)
 診断士グループへの参加による多様な人脈形成
 診断士グループの先輩診断士(独立、企業内)との交流によるロールモデルの獲得

3.私の場合

私は現在56歳で、理科系の大学院を卒業後、25歳で大手素材メーカーに技術職として入社し、現在関係会社に出向しています。年齢的にはジミーより6歳年上で、3ステージの人生のように見えますが、中小企業診断士の資格を取得し、社内人材公募制度という社内転職の仕組みでキャリアを変え、中小企業診断士としての副業を行いながら、将来のオプションを広げて新たなステージの準備を進めています。

入社後約10年は技術職として社内の生産設備の開発や制御システムの開発を行っていました。国内外の生産現場で自分の開発した設備やシステムを立上げて、生産活動に役立つという仕事はとてもやりがいがありましたが、同じ設備やシステムを国内外の工場に順次展開するフェーズになり、仕事がルーチンワーク化し始めました。多忙な一方で新たな学びや創造の機会が減り、自分の生産性資産と活力資産が減退することに危機感を持つようになりました。

そうした中、35歳で経営について学んで視野を広げたいと考えるようになり、経営全般の知識をワンセットで学習できる中小企業診断士の資格取得を目指しました。当初は独学でしたが、学習を加速させるため週末に資格学校に通い、通学2年目で資格を取得することができました。資格学校では、同じ目標を持った仲間と人脈を作ることができました。

資格取得後は、会社の仕事で資格を活用したいという思いが募りました。そうした折に、たまたま社内の人材公募制度で内部監査部門からの公募があり、内部監査であれば、経営全般の知識を活用してグループ各社の経営の現場をつぶさに見ることができると考え、それまでの技術者のキャリアから、内部監査へとキャリアを転換しました。内部監査部門ではインタビューの技法や、簡潔で判り易い監査レポートの書き方などを叩きこまれ、聴くスキルと書くスキルを磨きました。また、内部監査の国際資格である公認内部監査人(CIA)を取得し、CIAホルダーの勉強会に参加したり、自分で勉強会を立ち上げたりすることで、内部監査の人脈を作ることができ、勉強会の運営、共同研究、専門誌への寄稿、講演などの機会を得て、スキルを磨きました。

その後、総務部門に異動し、部内管理やリスクマネジメントの経験を積みました。

キャリア転換後10年程度は、新しいキャリアでのスキル獲得に集中したため、中小企業診断士としての活動はほとんど行っていませんでしたが、このままではせっかく取得した中小企業診断士資格が無駄になるという危機化を抱き、47歳のときに県協会に入会して湘南診断士ネットに参加し、創業支援、経営改善計画の策定支援、補助金申請支援、資格試験問題の作成、専門誌への寄稿、自衛隊や学校法人の講師など、診る、書く、話すの様々な実務の機会を副業として経験し、現在に至っています。

私は、内部統制や内部管理の経験が長く、現在は関係会社で人事に携わっているため、中小企業の内部管理体制、組織開発、人材育成など、企業の基盤である人のモチベーション向上と組織運営の強化をテーマに活動していきたいと考えています。

4.最後に

人生100年時代を迎え、リカレント教育、副業、パラレルワーカーなど、様々な学び方と働き方が浸透し始めています。長寿という人類が勝ち得た時間の贈り物を有意義に活用し、様々なことに挑戦して、従来の2人分の人生を過ごせるように時代になりつつあります。多くの人が夢をあきらめずに、着実に準備することによって、生きがいのある幸福な人生を過ごせるような、そんな社会が実現することを願い、自らも実践し続けていきたいと思います。

湘南診断士ネットは、無形資産の形成と副業機会の獲得の機会が得られる診断士のグループです。中小企業診断士として新しいステージを築きたいという方は、kanji@shonan-shindanshi.net までお問い合せください

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