なぜ、いまデジタルか

デジタル化

我々湘南診断士ネットでは、デジタルマーケティング分科会を立ち上げて、昨今注目を浴びているデジタル技術を中小企業の経営に役立てていく手法を研究しています。本ブログでは、分科会のメンバーが交代でデジタルマーケティングに関する、トレンドや知識、活用事例の紹介等、皆様の事業運営にお役に立てる情報発信を目的としています。

なぜ、いまデジタルか

新型コロナウイルスにより、いろいろなものがオンラインに

新型コロナウイルスの影響下で、私たちの生活は大きく変わっています。

「3密を避ける」や「新しい生活様式」の中で、多くのことが、人と人が実際に会う対面式から、インターネット上のテレビ電話やチャット機能に変わり、資料は電子ファイルで共有するオンラインへの変化が進みました。デジタル技術と、スマートフォンやアプリの活用により、テレワークのみならず、オンライン展示会やオンライン飲み会、オンライン診療へも広がり始めています。

これまでも、一昔前は固定電話や携帯電話とFAXを活用して、昨今ではパソコンとスマートフォンを活用すれば、対面でなくても仕事は可能でした。それでもテレワークが進まなかった背景には、きっと、複雑な情報交換や、熱意やライブ感、信頼感や安心感など、対面だからこそ伝えられる情報があったからだと思われます。

しかしながら現在のコロナ禍では、顧客や従業員の安全・安心と事業継続のバランスを取るためにも、対面とオンラインのハイブリッド化が進んでいくと考えられます。

デジタル庁の設立

また、デジタル庁新設のニュースもありました。菅首相は目的を、「複数の省庁に分かれる関連政策を取りまとめて強力に進める体制として、デジタル庁を新設する」と語ります。

背景には、新型コロナウイルス感染症対策で各省庁や地方自治体との連携がスムーズにできず、給付金の支給が遅れた等による、部分最適化された現在のシステムの問題点の顕在化もありました。ほかにも、マイナンバーカードによる行政手続きの簡素化やデータ統合の取り組みもあります。

これらは、デジタル技術を使い、今まで人の手を介していた作業の効率化や重複作業の削減により、物事を自動化・迅速化するものです。決して新しい取り組みではありませんが、コロナ禍で、国全体のデジタル化が再加速されています。

デジタル技術の活用

次にここで、最近よく耳にする「デジタルが付く言葉」について整理したいと思います。

大きくは、「デジタイゼーションによるプロセス内の改善」と、「デジタライゼーションによるプロセスそのものの変革」の点で整理できそうです。

デジタイゼーション

これまで紙や口頭で記録・伝達していた情報を、デジタル情報化や、それらを蓄積してデータベース化することです。最近では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉を聞くようになりました。これは人が転記や集計していたデータを、作業を定型化してロボットによる自動化を進めることで、元となる情報がエクセル等でデジタル化させることで可能になります。

デジタイゼーションでは、ビジネスプロセスの効率化やコスト削減と、そのことによる付加価値の向上が目的になります。デジタル庁のように、より幅広い範囲で(同じシステムで)デジタルデータが集められると、運用側と利用側の双方で改善のメリットが大きくなると考えられます。

デジタライゼーション

こちらは、デジタル技術を活用することで、ビジネスそのもの(ビジネスモデル)が変化していくことになります。かつて多く存在したレコード・CDやビデオの販売及びレンタルサービス業が、時間と場所を選ばないデジタルデータのストリーミングやダウンロードサービスに代わったのがわかりやすい例かもしれません。

また、デジタライゼーションの延長線上に、同じく最近よく耳にするデジタルトランスフォーメーション(DX)があります。経済産業省の掲げるデジタルトランスフォーメーション定義が、内容をよく表しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や 社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

“「DX 推進指標」とそのガイダンス”より引用

実際のビジネス現場では、まずは自社の情報をデジタル化するデジタイゼーション(デジタル化)を行い、その過程でデジタル技術を活用した業務の効率化や自動化を実現します。その上で、あるいは同時進行で、自社の商品やサービスそのものを変えるデジタライゼーション(及びDX)を進めて行くことになります。

従来のマーケティングからデジタルマーケティングへ

され、今回の最後は、我々が取り組むデジタルマーケティングについてです。

言葉の通り、デジタル化した情報やプロセスを活用して、「対面では難しかった」や「対面を補完する」、「対面に取って代わる」マーケティング活動(消費者が商品を購入するまでの企業の働きかけ)になります。

販売活動に重点を置いた、デジタイゼーション(デジタル化)とデジタライゼーション(DX)の組み合わせた取り組みといえると思います。

デジタル技術の活用することで、顧客の「Webサイト上の行動」や「GPS等の位置情報」、「購買履歴データ」等の大量のデータ入手でき、それと同時にデータ分析と仮説検証までも自動化が可能になります。

もちろんこれまでも、対面の営業活動や顧客との会話を通じて情報を収集し、自らの経験に基づいて分析と対策が行われていたと思いますが、扱えるデータ量と集計や分析のスピードは大きく異なります。その結果、データ分析に基づく改善活動に、より早く着手し、より多くの時間を使うこと可能になります。

実際の購入や契約には、商品・サービスの内容、購入頻度や購入単価により、「デジタル化が進むもの」と「対面が必要であるもの」に分かれると考えられます。

しかしながら、コロナ禍と政府のデジタル化推進も相まって、顧客が「商品やサービスを探す」、「購入者の口コミを調べる」、「自分の経験を誰かに伝える」という一連の行動においては、デジタルとの接点が今後も増えていくことは間違いありません。

人的資源や財務面で限りのある中小企業が、大手企業やテック系企業のようにデジタル技術の最先端を走る必要はありませんが、当社ならではの強みやネットワーク、顧客に安心感を与えるブランド力等をデジタルに乗せていくことは不可欠です。また、デジタル化を進めることで、顧客や商談管理、受発注や出荷・在庫管理等の業務プロセスの改善と生産性向上も期待されます。これらの点をサポートしていくのが我々中小企業診断士の役割と考えています。

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