中小企業のデータ活用状況とデジタル化のパートナーについて

デジタル化

近年のデータ量について

私たちは、日々LINE・メールを見たり、SNSの通知が来てチェックをしたりと、スマートフォンやPCを通して、インターネットにふれない日は今やないのではないでしょうか。いつでも、どこでも情報取得をしやすくなり、1人1台のスマートフォンはもちろん、PCやタブレットなど複数のデジタル機器を持つ方も少なくはないでしょう。こうした機器はインターネットにつなげられており、莫大なデータが日々やり取りされています。これは、総務省が出されている「我が国の固定系ブロードバンド契約者の総トラヒック」からも読み取れ、契約者の総ダウンロードトラヒック量は拡大傾向にあり、特に、コロナウイルスによるテレワークが急速に進んだことにより、今後さらにデータ量は増えることが推察されます。このデータには、記事や動画といった利用者にとって意味のあるものだけではなく、利用者の関心のあるHPや商品といった行動履歴なども含まれており、企業側は、こうしたデータをマーケティングに活用しています。

【我が国のブロードバンドサービス契約者の総トラヒック(推定値)】

企業で活用されているデータの状況について

このようにデータが拡大している中で、企業がどのように取り組んでいるかを見ていきたいと思います。

企業規模別分析に活用しているデータより、大企業では、多い順に①顧客データ、②電子メール、③アクセスログを分析に活用しているのに対して、中小企業では、①顧客データ、②電子メール、③経理データとなっており、アクセスログの活用に差があることが読み取れます。また、POSデータやeコマースといった販売・マーケティングに関するデータに関しても大企業との差がついており、販路に関するデータ分析・活用に弱いことがわかります。

【企業規模別分析に活用しているデータ】

企業のデータ分析手法と分析体制について

続いて、大企業と中小企業のデータ分析について見てみます。データ分析手法として、大企業より中小企業の方がデータの閲覧は勝っており、一方で、大企業は、データの閲覧よりも、集計・統計的な分析・AI活用などデータ活用で勝っている。これは、大企業と中小企業の資金的格差に加え、人材面の差が表れていることが読み取れます。

また、データの分析体制に関しては、大企業はデータ分析を行う専門部署や各部署にデータ分析専門担当がいますが、中小企業ではそうした担当者がおらず、専門でない方が取り組む傾向にあります。これは、人手不足の中小企業では、データの分析・活用に関して、専門的に専任体制を設けることが難しいことが読み取れます。

【企業規模別分析に活用しているデータ】

中小企業におけるITツール活用状況について

中小企業のITツール活用状況について、従業員の規模に比例して、活用度が上がっています。具体的にどのようなものを使っているかというと、最も多いのは、①「業務システム導入による効率化」、続いて②「場所を選ばず仕事ができる環境の整備」、そして、③「HP・SNS・メルマガ等の活用」となります。

【ITツールの活用状況:従業員規模別】

出典:2020年1月東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート 調査結果」

【ITツールの具体的な活用状況(取り組みたい内容含む)】

出典:2020年1月東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート 調査結果」

中小企業におけるITツール活用の課題について

中小企業におけるITツールを活用している・今後活用したい企業においての課題は、多い順に①「導入・運用にかかわるコスト負担」、②「情報セキュリティ対策の不安」、③「活用を推進できる人材がいない」となっています。一方で、ITツールを活用したいができない企業の課題として、多い順に①「活用を推進できる人材がいない」、②「導入・運用にかかわるコスト負担」、③「自社に合ったツール・アプリがわからない」という回答が得られています。

全体に共通して、「ITツールの活用を推進できる人材がいない」という点は、これまで説明をしてきた中小企業で活用されているデータの種類、分析手法・体制にもつながっています。こうした中小企業のITツールに関する理解促進や、活用に向けたサポート体制が整えられていれば、中小企業のIT化はさらに促進されていくでしょう。

【ITツール活用における課題(活用状況別、上位3項目)】

出典:2020年1月東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート 調査結果」

ITツール活用に向けた中小企業の相談相手

ITツールのサポートをしてくれる相談相手は、皆さまの周りにおられるでしょうか。顧問である会計士、ITベンダー、さまざまな方がおられると思います。ITツールを導入・活用していくにあたりポイントとなるのは、ITツール導入目的と自社の身の丈に合っているかだと思います。目的がはっきりしないままのITツール導入は、本質的な解決策にならず、もしかしたら導入したばかりのITツールをすぐに入れ替えることになるかもしれません。また、自社の身の丈に合わないITツールを導入してもオーバースペックで使いこなせず、部分的な利用に留まってしまうこともあるでしょう。こうした事態に陥らないように、ITルール導入にあたり、第三者として相談に乗ってくれるパートナーは大変重要になります。パートナーを選ぶときは、そうした解決すべき本質と身の丈に合った内容を、真摯に受け止め、一緒に作り上げてくれる方が良いと思います。パートナーを検討する中で、今後さらなる成長に向けたIT導入、あるいは、自社の経営診断を受けたいという企業がおられたら、湘南診断士ネットを活用されることも一つだと思います。

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