クラウドサービスの活用から考えるデジタルマーケティング

デジタル化

国中小企業クラウド実践大賞をご存じでしょうか。この一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会による毎年の表彰から、今回も中小企業のデジタルマーケティングを考えていきます。

本ブログではデジタルマーケティングの具体的な事例をご紹介していきたいと考えていますが、まだまだ大企業による大規模な取り組みが多いため、少しスコープを変えて最近ビジネスでもプライベートでも身近になってきた「クラウドサービス」から、デジタル情報の活用方法を探ります。

現在、クラウドサービスにはさまざまありますが、個人のプライベート利用が非常に多いiCloudや、各種情報の保存と共有を行うサービスのEvernote、複雑な会計システムの即時利用が可能なfreeeなどが、わかりやすい代表例になると思います。

iCould:コンテンツを安全に保管し、すべてのデバイスでアプリを最新の状態に保ち、写真、ファイル、メモなどの情報をどこにいても利用できるサービス(出典:https://support.apple.com/ja-jp/guide/icloud/mm74e822f6de/icloud)

Evernote Business:テキスト、画像、音声、Webページなどあらゆる情報を保存し、メンバー全員がPC、スマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスで共有・編集できるクラウドシステム(出典:https://evernote.com/intl/jp/business

freee:初めてでも決算書作成や確定申告が簡単におこなえ、中小企業の経理・会計を自動化し、業務時間を削減する、パソコンやスマホからすぐに利用可能なクラウド会計ソフト(出典:https://www.freee.co.jp/

クラウドサービスからデジタルマーケティングへ

クラウドサービスは、ソフトウエアやそれらを稼働させるインフラ機器において外部資源を活用することになります。中小企業では自社でソフトウエアを開発しハードウエアを所有するよりも、クラウドサービスを活用することでコストが低く運用開始が早くなるケースが多いと考えられます。

クラウドサービスの開始にあたっては、自社内の情報を外部のクラウド上の利用システムにアップロードする必要があります。その際に、紙面の情報や、個人の経験値等も整理してシステム上で管理できると、幅広い情報の即時共有や再利用が可能になり、導入メリットが高まります。

一方、デジタルマーケティングにおいても、自社で持つ様々な情報をデジタル化して販売促進活動に活用するという点で、クラウドサービス導入による社内情報の整理と親和性が高いと考えられます。両者ともに、社内の情報をデジタル化しそれらをいかに活用するかがポイントになります。そのため、クラウドサービス導入における課題や対策、実施後の効果からも、自社のデジタルマーケティングを考える上でのヒントが多くあります。

2019年全国中小企業クラウド実践大賞

2019年は10社が表彰されていますが、今回は掲載順で5社の成果を取り上げたいと思います。こちらのページ(https://www.cloudil.jp/report-2019/)よりすべての表彰が確認いただけます。また、各社取り組みのもう少し具体的な内容を、企業やシステムインテグレーターのHPから探したものを、参考URLとしています。

補足ですが、大賞の名前や事例にもでてくる「クラウド実践」を、「クラウドサービスの利用」や「クラウドサービスの活用」と読み替えるとより分かりやすくなります。

事例からも、クラウド実践によるデジタル化で、以下のような効果が期待できます。

  • クラウド実践の過程において、個人で保管している情報を外部のサーバーに移動させることで、時間や場所を超えて、即時に複数人に情報伝達ができます。
  • また、ソフトウエアを活用して上手く情報をまとめることで、情報の粒度のばらつきが解消され、必要な情報が保管・共有され、情報自体の純度が高まることも期待できます。
  • その上で、専門会社が開発したソフトウエアで行われる情報の分析、比較や提案からはビジネスにおける新たな気づきも期待できます。

株式会社atsumel(不動産)

テーマ:クラウド実践により顧客情報を共有し、ニーズを踏まえた営業で商談化率を向上

課題:業務のほとんどが紙ベースで、商談情報は営業担当者がそれぞれ紙で保管

対策:CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)/SFA(セールス フォース オートメーション)やMA(マーケティング オートメーション)の導入により、アナログな情報管理の撤廃、営業プロセスの見直し

効果:約1万人分の顧客情報をクラウドで一元管理し、顧客の属性に合わせた情報提供により、事業の拡大に成功

参考URL:https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/atsumel/

「Salesforce」の導入により、顧客・商談・物件・売上など経営判断に必要な情報をリアルタイムで精緻に把握できるようになるとともに、Web広告で集まった見込み客情報を活用して効果の高いコンテンツ配信やアポイントの取得につなげています。

ダイヤ精機株式会社(製造)

テーマ:クラウド実践による情報共有から生産性を向上させ、強みである納期対応力を強化

課題:若手と熟練の総加工時間の差による生産性の低下。図面を手にしてから機械を動作させるまでの段取り時間に圧倒的な差

対策:グループウェアを採用し、トップページですべての情報を閲覧可能に。回覧板機能、名刺の一元管理、図面閲覧機能で図面を探す時間を短縮、プロジェクト管理などを活用

効果:社員のモチベーションと生産性の向上を実現

参考URL:https://www.lista.cloud/case/

納期や工程管理を重視した「Lista」を導入して、進捗管理とスケジュール遅延を防止するとともに、会議など生産以外の時間の削減と、全社メッセージの共有によるルールの徹底や品質・安全の向上を進めています。

株式会社航和(介護)

テーマ:クラウド実践により事務作業の効率化で、介護現場の離職率を改善

課題:離職率が高く、原因を探ったところ「大変なのは事務作業」ということが判明。伝達事項やケアプランなどを毎日のコピーと配布、利用者別の情報ファイルの検索に時間がかかっていた

対策:クラウドの活用により、アップされた情報を、すぐにスタッフ全員で共有でき、コメントや写真、音声などの利用で利用者の様子をリアルタイムに把握

効果:利用者の基本情報や予定実績の管理、計画書作成、請求業務などのICT化、Bluetooth対応のデバイスによる朝のバイタル測定などの効率化を実現し、離職率も低減

参考URL:https://www.nttdocomo.co.jp/biz/casestudy/kouwa/

「Evernote Business」を導入して、介護の現場や外出先からスマートフォンやタブレットを使って、利用者の脈拍、血圧、体温や、食事摂取量などの情報の共有や業務連絡、意見交換ができ、ミスのないサービス提供とケア業務の品質向上に役立てています。

株式会社コスモテック(機械メンテナンス)

テーマ:クラウド実践により見積もり工数の可視化、ミスや誤発注を防止し黒字化を実現

課題:業務がすべて紙ベースで、勘と経験にもとづき、見積書を作成しても、つくった本人しか中身がわからず、時間がたつと根拠も不明。部品の誤発注も多発し、2年連続の赤字。

対策:運用管理が不要なSaaSを採用し、意識することなくデータが共有でき、可視化できる仕組みを低コストで構築。また、故障個所推測の属人化を防ぐために、自社でクラウドサービス(CPMS)も開発

効果:見積もり工数の可視化、ミスや誤発注を防止し黒字化を実現

参考URL①:https://www.e-cosmotec.com/service/iot/

製造現場の経験に基づく独自センシング技術を使って収集した、大量のデータをリアルタイムに可視化できるシステムをクラウド上で構築し、自社内の使用にとどまらず、他社へもクラウドサービスとして販売を開始しています。

株式会社ジェイ・バン(研修・コンサルティング)

テーマ:一人で営業から事務をクラウド連携で自動化し、その仕組みを全国の自宅起業家と共有し収益化

課題:すべての人が自宅で働ける環境づくりを目指し、テレワーク実現のためのクラウドシステムを構築

対策:マーケティング、セールス、バックオフィスの業務フローはクラウドで標準化し、事務作業の多くを自動化。オンライン会議システムを活用し、外注、スタッフ、代理店が連携し、セミナーや勉強会を開催

効果:企業研修中心のフロー型収入から1年更新のアプリ販売を行うストック型収入にビジネスモデルを転換

参考URL:https://j-ban.com/results/salesforce-1/

集客・営業・事務等に幅広くクラウドサービスを使い、それらをSalesforceで一元管理して業務効率を高めています。そのことで捻出した時間を使って、新サービスであるアプリの開発に注力し、また新サービスの販売を進めるチーム作りにもクラウドサービスを活用しています。

いかがでしょうか。各社のテーマに気になる点や課題に「当社も同じだな」、または対策や効果に「なるほど」があるのではないでしょうか。

「稼ぐ力」を強化させるためのクラウドサービスとデジタルマーケティング

本大賞は、クラウドサービス等の情報通信技術(ICT)の活用で、業務の自動化等による経営効率化や、製品・サービスの開発強化と新たな価値の創出を実現し、「稼ぐ力」を増強している実践事例を共有することを目的としています。そのことにより、地域の中小企業等の収益力向上・経営効率化の動機付けとし、将来の成長、競争力強化に寄与することを期待しています。

今回の事例で、株式会社atsumelと株式会社ジェイ・バンは販売・マーケティング分野のデジタル技術活用になり、インターネットプロモーションやデジタルマーケティングがイメージしやすいと思います。一方、ダイヤ精機株式会社や株式会社コスモテックは生産活動、株式会社航和は事務業務へのデジタル技術活用になり、デジタルマーケティングとはポイントがずれるように感じるかもしれません。

しかしながら、クラウドサービス導入の過程において、デジタル化と情報通信技術の活用を進め「稼ぐ力」を高めていくという面では、デジタルマーケティングとオーバーラップするところが多いと考えられます。

今回は、デジタルマーケティングと少し異なる視点からではありますが、デジタル技術の活用について考えました。

最後に、本大賞への応募に必要となるクラウド実践宣言の観点を引用します。クラウドサービス導入による取り組みがわかりやすく整理されています。デジタルマーケティングの実施にクラウド実践が必須というわけではありませんが、デジタル化した情報を活用して、顧客や従業員対応を高め、業務改革を達成するという点では、やはり共通点と参考になる点が多くあります。

残念ながら2020年大賞の締め切りは終了していますが、今後の取り組みの検討・参考にされてはいかがでしょうか。

(出典:https://www.cloudil.jp/contest/

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