Slackを半年間使って分かった8つの特長

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和多田です。本日は、Slackについて書こうと思います。

先日、Salesforce社がSlack社を買収したというニュースが世間を騒がせていました。その買収額の大きさもさることながら、デジタル化社会に向けての急速な変化と、それに伴って生じるデジタル環境ベンダー同士のシェア争いの激しさを感じざるを得ません

その買収のニュースそのものにも興味は尽きないところですが、すでに、他メディアのニュース記事などで多く取り上げられていますので、詳細はそちらに譲るとします。

本記事では、私が、湘南診断士ネットでこの半年程度、Slackを使ってプロジェクトや分科会を運用してきた経験に基づく、Slackの使用感を述べていきたいと思います。私はSlackの回し者ではありませんので、あくまでニュートラルに、良い点、良くない点を挙げていき、これから使ってみようかなと思っている方の参考にしていただけたらと思います。

Slackとは何か?

Slack はニーズに応えるプロダクティビティプラットフォーム
Slack(スラック)は、チームとコミュニケーションを図るための新しい手段です。メールよりも速く、整理され、安全な方法で実現できます。

Slackは、さまざまな機能を含んでいる複雑なツールなので、一言で表現するのは難しいのですが、私自身の解釈としては、やはりチャットツールであると考えています。これも、すでに多くの他メディアで紹介されているので、詳細をそちらに譲るとします。

チャットツールとしては古くはYahooメッセンジャーやMSNメッセンジャー、最近ではSNS機能も併せてLINEなどが主流なのかもしれませんが、多くはカジュアルなコミュニケーションツールとして使われてきたと思います。一方Slackは、主にビジネスシーンや、非営利活動など、比較的フォーマルな活動にターゲットを絞ってきた感があります。無料から使え、かつ、サードパーティのツールとの連携が比較的しやすいことから、この分野で広がってきたのだと思います。

私が感じたSlackの特長

皆様は、今回の私のケースのように、数名~10数名が、勉強会や研究会のような非営利団体的な組織のプロジェクトを運営する際、どのようなコミュニケーションツールを使われますか?

このようなプロジェクト活動においては、会社での業務のようにフェイス・トゥ・フェイスや、電話でのコミュニケーションを頻繁に行うことは難しいので、メールを主体として使うことになるのではないでしょうか?

複数人でメールのやり取りを直接行うと、メールの送信ミスや送信漏れが生じやすいので、普通はGoogleグループなどのメーリングリストを使うのではないかと思います。

ということで、今回は、メーリングリストと比べたときのSlackの利点という観点で述べてみたいと思います。

①メールボックスがごちゃごちゃしない

メールアドレスは、大抵の人はPCメール、携帯キャリアメールの2つ程度しか持っていないと思います。特定のプロジェクトのために使うと、メールがごちゃごちゃとしてしまい、見落としが多くなってしまいます。無料メールアドレスを追加することも可能でしょうが、メーラがごちゃごちゃしてしまうので、これはこれで管理が大変です。

Slackでは、プロジェクトを始めるたびに、ワークスペースを作成し、関係者を招待すれば、メールとは無関係に進めることができるので、こうした悩みはなくなるでしょう(もちろんメール主体で使うことも可能です)。完了したプロジェクトは、一旦ワークスペースからサインアウトすることで、Slackアプリ内からも見えなくなるため、Slackアプリがごちゃつくこともありません

②チーム構成を機動的に変えやすい

数名程度のチームであれば、あまり気にならないかもしれませんが、10名以上になってくると、特定の話題について特定のメンバーだけで議論したいということもあるでしょう。メーリングリストでは、同一リストのメンバーは、常にメールを受信しなければならないため、自分には関係ない話題で延々と盛り上がっていても、すべて受信しなければなりません複数の異なる話題が並行で走っている場合なども、話題が混在し、内容を理解できなくなってしまいます

Slackでは、チャンネルという単位で話題を管理することができるため、新しい話題ができるたびにチャンネルを作成し、関係するメンバーを招待すれば、こうした問題に悩まされません。メンバーの入れ替えも簡単ですし、拡大してきたら、新たにワークスペースを作るということも容易にできます。

③添付ファイルが取り扱いやすい

テキストだけのやり取りならば問題ないのですが、大抵のプロジェクトでは、PowerPointやWord、PDFなどのファイルをやり取りすると思います。メールでも添付ファイルで送受信は可能ですが、ファイルの送信容量上限にすぐに引っかかってしまうことが不便です。例えば、Gmailでは上限が25MBと定められていますが、最近は、25MBを超えるようなファイルをやり取りすることは、あまり珍しくなくなっていると思います。

Slackは上限が1GBとなっているので、通常、この手の不便さを感じることはないでしょう(ただし、無料プランでは合計5GBの上限があります)。また、メールの添付ファイルは、あとで探すのが面倒ですが、Slackはファイルの検索機能があるので、探しやすさの点でも優位にあると思います。

④リマインダや調整ツールなど基本的なツールが内包されている

複数人で作業をしていると、いついつまでに〇〇をするといった締め切り管理や、特定の日に会議を行うためのスケジュール調整が必要になることがよくあります。こうした作業は、リマインダーメールを作成してメンバーに注意喚起をしたり、スケジュール調整のためのフォームの作成と、メンバーへの通知、集計などで、時間がかかって地味に大変です。特に、リーダーには負荷がかかりやすいと思います。

Slackには、特定の日時に、特定のメンバーに通知をするようなリマインド機能や、プラグインアプリになりますが、メンバーの都合を集計するための調整ツールなどをSlack内で完結して使えて便利です。

⑤プッシュ通知が来る

メールは基本的には、プル型配信なので、自分から情報を受信しなければ見ることができません。よって、少し忙しくなってしまって、メールを受信しない時期が続くと、急ぎのメールをうっかり見過ごしてしまうことがあります。メーラが自動で定期的に受信する設定にもできますが、やはり①の問題に関連しますが、他の関係ないメールと紛れて受信されてしまうと、見落としてしまいがちです。

Slackの場合、プッシュ通知されるように設定できるので、急ぎの連絡はすぐに通知を受けることができます。最近は、多くの人はメールの読み書きをスマホで行うと思いますので、今風の機能だなと思います。

私はどちらかというと、PCでどっしり腰を下ろしてからメールを書きたいたちですが、それでも、スマホで通知を受ければ、「少なくとも目は通したよ」という反応くらいでも返せるので、円滑なチーム運営の観点では便利な機能といえます。

⑥誰に宛てているか明示できる

メールでは、複数人に宛てたメールなどでは、自分に宛てられたメールであることを把握しにくいことがあります。「〇〇さん」のように、明示的に宛先を書くことはマナーかと思いますが、それでも書き忘れたり見落としは起こってしまいます。本当は返信が欲しいのに、なかなか来ないと、お互い気まずいものです

Slackではメンションという機能があり、特定の相手に「@〇〇」さんのような書き方をすることで、相手にプッシュ通知が送られ、相手は自分宛てにメッセージが来たことに気づきやすくなります。また、仮に見落としても、メンションで自分宛のメッセージを検索することで、あとで、見落としがあったことに気づきやすくなります。

⑦儀礼的な文を省略できる

これはチャット固有のメリットともいえるかもしれません。メールですと、親しい間柄であってもどうしても、「お世話になっております」や「よろしくお願いします。」のような儀礼的な挨拶を入れたくなってしまいますし、一言だけ返すのは失礼かと気を使ってしまい、無駄に多くの文を考えることに時間を使ってしまったりしがちです。

Slackでは、基本的には「お世話になっております」のような儀礼的な挨拶は不要です。また、多くのメッセージは、単にリアクションをすることで置き換えられます。例えば、作成した資料のレビュー依頼があったとき、特にテキストで指摘するほどのことがなければ、サムアップマークを送信するだけで「レビューはしたが問題はない」ということが伝わるので、大変合理的です

⑧メンバーのアクティブさを把握できる

これは、管理者専用の機能ですが、メンバーがどのくらいアクセスしているかなど、統計データを見る機能があります。たくさんのメンバーを抱えたグループのリーダーは、全員に情報がいきわたっているか、常に不安を抱えながら運営していると思います。特に、反応が欲しい連絡に対して反応がないと、単に未読なだけなのか、自分の連絡の仕方が悪かったのか…など悶々としがちです。

Slackのアナリティクスという機能を使うと、メンバーが最近Slackにアクセスしたか、投稿をしたかなどといった情報のサマリーを閲覧することができますので、こうしたことで悶々とし、頭を悩ませる必要がなくなります

ただし過剰な期待は禁物

一方で、思ったほど万能でもないな…と思ったことについても述べていきます。

①メンバーから使いづらい…といわれがち

Slackはメールの一つ上を目指したというコンセプトですが、やはり、メールとはかなり操作感は違います。メールより使いづらいといわれたり、メッセージを送ってもメンバーからなかなか反応を得られないことなどがあったりします。

何を隠そう私自身も、一度はSlackに入門し、挫折した経験があります。2015年頃にSlackが最初に盛り上がってきた時期にアカウントを作成しましたが、結局、通り一遍のチャットツール以上の意義を見出せず、数か月使ったのち、数年間お蔵入りになってしまいました

これは私の反省に基づく意見ですが、Slackのメリットをうまく引き出そうとすると、リーダーがうまくファシリテーションできないといけないのかなと思います。適切なタイミングでチャンネルを作成し、誘導するということを行わないと、ずっと#generalでしゃべり続けているだけでは、情報が整理されず、いずれ埋もれてしまいます。また、スレッドなども使いどころをわきまえないと、あちこちにコメントが散ってしまい、「あれ、あの時の発言どこにいったっけ?」となりがちです。うまくメンバーを誘導し、チャットログそのものが議事録となっている…というのがベストな使い方のように思います。

デフォルトで、おやすみモードが設定されているのも、意外な落とし穴ですね。なぜか通知が届いたり届かなかったりすることから不信感を覚えられる方もいます

これらはひとえに「慣れ」るしかないのかな…というようなことですが、もともとSlackはエンジニアを中心に広まったという経緯からわかる通り、若干ギーク向けの操作感(万人受けしない)という部分があることは否めないと思います。

②使い出の良いツールは意外と限られる

Slackそのものにもいろいろな機能があり、また、サードパーティのアプリと連携することで、可能性は無限大に広がる…と思いがちですが、意外と使えるツールは限られるのと、アプリ連携もそれほど楽ではないなと感じます

例えば、Slackにはポストという機能があり、Wordライクなエディタにより、メンバーと共有しながらドキュメントを編集できる機能があるのですが、あまり修飾機能等がないため、みすぼらしいドキュメントしか作れず、正直なところ、使えるという感じがしません。しかし、これに代わる機能としては、Officeで作成したWordを貼り付けるか、Googleドキュメントのような別ツールを使うしかありませんが、前者は共有ができませんし、後者は、別途Googleアカウントの取得が必要のため、結果的に全部Googleで完結すればいいじゃないか…ということになりがちです。

何かをインストールするたびに、そのアプリ用のアカウントを作らなくてはならなくなり、アカウント管理が面倒なのと、自分自身は我慢するにしても、他人にもお勧めすることはしづらいなと思ってしまいます。

Slackは、サードパーティのアプリと連携できることが売りなので、基本機能はあまり力を入れないという戦略なのかもしれませんが、基本ツール(オフィススイート)くらいは、ひとそろえ揃えて、Slack単体で完結できると良いと思います。

まとめ

先述した通り、私は数年前に一度Slackをはじめましたが、一度挫折し、今年再び使い始めて今に至ります。この数年で、Slackも改良され、使いやすくなっていると感じました。また、ユーザーサイドで使っていたころは、あまり利点を感じませんでしたが、リーダーとしてまとめる立場に立つと、Slackを使うことで、不必要な面倒ごとの多くを解消でき、結構便利だなと感じるに至りました

一方で、ユーザーサイドで見ると、やはり、第一印象ではとっつきにくい操作感があることは否めません。慣れて使いこなした先に、便益があることは間違いないので、なんとか乗り切ってほしいところです。

そして、やはり、今回の買収劇が、どっちの方向に転ぶかが気になります。無料プランが、企業買収後に有料化されてしまうといったことは珍しくないので、Salesforceには何としても、無料プランを続けていただきたいと願う次第です。

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